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工芸ルービック 匠一弾 九谷焼 五彩

心を豊かにする日本のKOGEIと世界中で愛される玩具の融合 KOGEI×Rubik'sに込めた思い


「工芸ルービックキューブ 九谷焼 五彩」(発売元:株式会社メガハウス)が発売され、AgeDesignでは企画・デザインを担当させて頂きました。メガハウスの公式HPにはこのようにあります。『時代を超えて受け継がれるべきものに触れ、人が本来持ち備えている感性を呼び覚ます』をコンセプトに、ルービックキューブと日本の工芸とのコラボレーションを通じ、感性や受け継ぐべき文化の再認識を提唱し国内外へ発信して参ります。本シリーズは「飾れるアート作品」としても「遊べる玩具」としてもお楽しみいただけます。

このメッセージは非常に重要で、このメッセージにメガハウスが込めた思いに共感し、今回工芸の担い手として企画に協力させて頂きました。

 

弊社は平成28年に経済産業省 craftmeet 伝統的工芸品産地ブランド化事業『九谷焼』の認定事業者 に選定されました。以降、九谷焼だけではなく、輪島塗や山中漆器、加賀友禅、二股和紙などの地元の伝統工芸に加え、東京手植毛ブラシや江戸切子、高岡銅器など幅広い工芸産地との企画を進めてきました。

今回のシリーズ企画にあたり、工芸とは?玩具とは?この二つの異なるカテゴリーに真剣に向き合い企画を進めてきました。そして、KOGEI×Rubik'sはデジタル全盛の今だからこそ、失ってはいけない人の心を豊かにする二つの本質的価値を融合させることで、受け継ぐべき大切なモノを新しいカタチで届けられるのではないかと進めてきました。


九谷窯元 木田製陶 四代目 木田立
九谷窯元 木田製陶 四代目 木田立
九谷窯元 木田製陶 こだわりの道具
九谷窯元 木田製陶 こだわりの道具

今回、匠一弾 九谷焼 五彩 製作に協力いただいたのは、弊社hiracleの生産に10年にわたり協力いただいている九谷窯元木田製陶さんです。4代目木田立さんは、陶工として生地作りにこだわりを持った数少ない伝統工芸士です。木田製陶のある小松市八幡は、もともと九谷焼の中でも置物の産地でした。但し、バブル崩壊後は、ご多分に漏れず生産量が減り近隣の窯元で閉窯するところが増え、高齢化が進んでいることは、今回の取材で木田さんも語られてまた憂慮されていました。

しかしそんな中で、木田さんはその高い造形力と責任感ある職人魂で、様々な新しい企画に取り組まれています。直近では、石川・福井・富山をつないだ工芸の祭典『GO FOR KOGEI』への参画が記憶に新しいです。


GO FOR KOGEI
GO FOR KOGEI
GO FOR KOGEI

木田さんは、今回のインタビューで、かつて磁器がプラスチックに置き換わった時代があったが、今は逆にプラスチックを磁器に転換する仕事が増えてきたと語られています。それも木田さんの高い技術があってこそです。

​そんな木田さんだからこそ、今回木田製陶でもほぼ最小といわれるルービックキューブのタイルもあっさり引き受けてくださいました。実際の生産にあたっての思いやこだわりについては、こちらのオフィシャルサイトのムービーでもご覧いただけます。

 

九谷焼 五彩の一片のタイルサイズは、わずか約16m㎡。とても小さなタイルですが、通常の九谷焼と同じ工程を踏んで一つ一つ丹念に作られています。特に最後のペーパー仕上げは手仕上げによるものであり、この気の遠くなるような作業はまさに職人魂のなせる技と言えます。


木田製陶における生産工程


九谷窯元 木田製陶における生産工程

九谷窯元 木田製陶
九谷窯元 木田製陶

元来玩具は、積み木やコマ、お手玉、フランス人形やブリキのおもちゃなど手仕事によって作られていました。そして時代が流れ、産業革命とともに20世紀にはあらゆるものが生産性の向上を受けてより安く、広く一般に普及することとなりました。そして21世紀に入ると、今度はデジタル技術の普及、とりわけスマートフォンの普及で、1台のスマートフォンで何でもできる時代になりました。

 

これらの歴史の流れを見ていると、元来の玩具=手仕事による工芸と置き換えると、その境遇は非常に似通っていることに気づかされました。素材は量産性や耐久性を求められたプラスチックなどの素材に置き換わった一方で、今ではSDGsなどの開発目標も時代背景と重なり、実は伝統工芸を支える原材料の数々も有限資源を使うことに変わりはなく、作る責任はこれまで以上に重たいことに気づかされます。

 

ニューノーマルでステイホームの時間が増えた今だからこそ、このKOGEI×Rubik'sの企画を通じて『時代を超えて受け継がれるべきものに触れ、人が本来持ち備えている感性を呼び覚ます』きっかけとなり、これからの時間とともに長くい愛されるアイテムになれば幸いです。


九谷窯元 木田製陶



創業80余年。九谷焼の置物産地の八幡エリアにて、九谷焼の素地工程を担っています。干支・獅子等の縁起物や香炉等の蓋物など精微を極めた造形技術を代々伝統工芸士として継承。原型から素地までを一貫してすべて手作りで製造し、量産品とは思えない豊かな表情を創り出すことを可能にしています。『一陶入魂』を掲げ、木地仕上げの技術と美しい完成度は、木地の大小や形状を選ばず、産地でも群を抜いています。


近年では、デザイナーやメジャーブランドとのコラボレーションによる素地開発にも着手し、現代における九谷焼の可能性も追究。世界に轟く九谷焼の名に恥じない「陶工」として、日々研鑽を重ねています。




工芸ルービックキューブ 九谷焼 五彩 セット内容 ルービックキューブ本体、九谷焼 五彩ガイド、専用台座BOX(シリアルナンバー入り・折りたたみカバー付)、取扱説明書 サイズ・重さ 本体 W62×D62×H62(mm)・約153g 価格 99,000円(税込・送料別) 受注期間 2021年11月19日(金)11:00~2021年12月27日(月)15:00 お届け時期 2022年2月から順次発送

※製品仕様は開発段階のものであり、サイズや重量や色味が予告なく変更する場合があります。 ※当製品は受注生産商品です。発送は日本国内に限らせていただきます。 ※当製品はプレミアムバンダイで販売いたします

発売元/株式会社メガハウス 〒111-0043 東京都台東区駒形2-5-4


企画・デザイン/エイジデザイン株式会社 〒920-0962 石川県金沢市広坂1-2-32 北山堂ビル4F


協力/九谷窯元 木田製陶

〒923-0833 石川県小松市八幡甲140

RUBIK’S TM & © 2021 Spin Master Toys UK Limited, used under license. All rights reserved.



 


工芸


工芸とは、美的価値をそなえた実用品を作ること※1であり、中でも長年受け継がれている技術が用いられた工芸品のことを伝統工芸といいます。日本の伝統工芸品の生産は1984年にピークを迎え、バブル崩壊後の経済低迷や安価な海外製品の台頭、ライフスタイルの変化などで年々減少し、現在はピーク時の5分の1といわれており※2、従事者の高齢化や後継者不足など、課題も山積しています。しかし、近年、日本文化を見直す動きや、モノの本質的な価値を見出す本物志向の考え方も広がりを見せ、現代のライフスタイルに合わせた斬新な商品も数多く誕生、人気アニメとのコラボレーションや、工芸品の海外展開も高評価を得ており、新たな顧客層も獲得しています。また、日本に各地に根付いている伝統工芸は、今や地方創生の要ともいえる産業であり、文化であり、地域と密接な関係と文脈を持った最強のコンテンツの一つといえます。地方創生施策として、2020年に東京国立近代美術館工芸館が工芸のまち・石川県金沢市に移設され、「国立工芸館」として新たにスタートすることが大きな話題となり、「工芸」への関心はますます高まっています。時代とともに変化して受け継がれてきた確かな伝統の技術は、新しい感性を加えた「現代日本のものづくり」として改めて注目されています。

※1 広辞苑より ※2 一般財団法人 伝統的工芸品産業振興協会HPより



九谷焼

九谷焼は、今から約360年前に北陸の加賀国江沼郡九谷村(現在の石川県加賀市山中温泉九谷町)で生まれ、その後興廃を繰り返しながらも脈々と受け継がれてきた伝統工芸であり、克つ現代においても新たな技や様式が創造され続けている多種多様な焼物であり、加賀藩の名残を残す大切な文化です。文明開化の時代から世界にも名を轟かせる程に、誰しもが見聞きしつつも、あまり知られていない九谷焼の歴史を簡単に紹介します。

​※九谷焼写真提供:石川県立美術館
​※九谷焼写真提供:石川県立美術館

九谷焼の誕生 ―江戸前期(17世紀中頃)古九谷

三代加賀藩主・前田利常が、1639(嘉永16)年に三男前田利治に分与した大聖寺藩の領内に九谷村がありました。

1655年(明暦)元年ごろ、その九谷の山から磁器の原料「陶石」が発見されたことで、色絵磁器焼成事業が起こされ、九谷焼が誕生しました。

ところが、17世紀後半から18世紀冒頭にかけてのおよそ50~60年ほどの稼働したのち廃窯となりました。

この間に作られた九谷焼を「古九谷」といい、上絵付の大胆な構成と豪放華麗な色使いが魅力です。 


復活と発展 ―江戸(19世紀)再興九谷

江戸後期、全国的に陶磁器生産が盛んになり、九谷焼にも再興の動きがありました。加賀藩が19世紀前半に、京焼の名工・青木木米を招聘して開いた春日山窯をはじめ、民山窯、能美郡の若杉窯・小野窯・蓮代寺窯、江沼群の吉田屋窯・宮本窯・松山窯の諸窯が加賀国南部において、稼働しました。それぞれの窯が特色ある作風を持ち、様々な陶技、様式が生まれ、九谷焼はさらに多彩に発展していきました。そして、明治以降も各地域で陶業が発展する基盤となりました。

産業振興で海外へ ―明治~昭和前期(19世紀~20世紀)近代九谷 

九谷焼は、19世紀後半からヨーロッパで頻繁に開催された万国博覧会へ出品され、「ジャパン・クタニ」として海外からも高い評判をとり、欧米向けの貿易品として数多くの九谷焼が生産されました。九谷焼は「金沢市域・小松市」と「寺井町・加賀市」と「山中町」3つの地域においてそれぞれの特徴を持っていますが、このころから金沢以南一円で生産される色絵磁器全般を「九谷焼」と呼ぶようになり、全国一の生産を誇りました。名工たちはやがて独立し、工芸作品を競う全国規模の博覧会や展覧会に出品・受賞し、作家の地位を確立し、技術の追求や後進育成にも貢献しました。

 

現代の九谷焼 ―昭和後期~現代(20世紀後半~)現代九谷

昭和後期以降、文展や日展、伝統工芸展などへ出品する作家の時代へと移り変わり、工芸品の枠を超え美術品として制作される一方、高度経済成長期に産業としても、大量生産技術や絵付けの転写技術の向上により、さらに発展し、広く一般の方々にも手に入る日常使いの陶磁器としても普及していきました。九谷焼の最大の魅力、上絵付を主とする加飾についてもさらに磨かれ、新たな技法、彩釉や釉裏金彩、釉裏銀彩、盛や花詰、青粒、赤絵細描・細字などが生み出されていきました。

生産地近隣には、金沢美術工芸大学や石川県立九谷焼技術研修所や支援工房九谷(石川県立九谷焼技術者自立支援工房)、金沢卯辰山工芸工房など、若手育成の施設も充実しており、デザイナーとのコラボレーションにより商品を生み出すなど活発な広がりを見せています。

九谷焼の原料となる代表的な陶石は小松市花坂地区の「花坂陶石」で、2019年には花坂陶石の製土工場+体験型ミュージアム「九谷セラミック・ラボラトリー」がオープン。建築家隈研吾氏による意匠設計・グラフィックデザインの施設は多くの注目を集め、若手作家育成を目的としたレンタル工房としての役割も担っています。

九谷焼は古九谷以来の伝統を継承しつつ、オリジナリティーを追求する精神が受け継がれ、作家の数だけ違った個性の九谷焼日々が生まれ、今もなお進化し続けています。


参考資料

2003年2月発行 日本のやきも 窯別ガイド 九谷 著者寺尾健一 氏

2008年9月発行 ふでばこ16号 株式会社白鳳堂発行

九谷焼協同組合ホームページ(https://www.shinkutani.jp/index.html)


 

KOGEI Rubiks Kutaniyaki gosai

2021-2022Japan Tokyo & Ishikawa

Publisher Megahouse Co., Ltd. Planning / Design AgeDesign Co., Ltd. Cooperation Kida Ceramics Factory

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