top of page

Recocera(リコセラ)プロジェクト

​リサイクルされた素材を、土に還すまでを考えた製品開発


Recoceraプロジェクトは、弊社が長年お付き合いのある、環境機器・資材メーカーである、株式会社アースエンジニアリング(金沢市)が1997年に開発した発泡セラミックスの素晴らしさを、一人でも多くの消費者の方に理解いただきたく企画しました。


発泡セラミックスは、鋳鉄スラグ等の素材を原料とし、有害物質や重金属類の溶出についても環境基準をはるかに下回る安全なリサイクル素材で、開発以来、屋上緑化基板や屋根・屋上の外断熱パネルとして、環境改善や省エネ等に貢献してきた素材です。その素材の素晴らしさは、アースエンジニアリングのHP(http://www.earth-eec.co.jp/product/foamed_ceramics/)に詳しく掲載されています。


工芸コーティングすることによる機能性や品質改善を試行錯誤
工芸コーティングすることによる機能性や品質改善を試行錯誤

建材ではなかなか伝わらないこの素材の素晴らしさをもっと一般の方々にも知ってもらうため、日用品として使えるプロダクトにできないかと、開発しはじめました。


九谷焼作家 半田濃史氏により何度も試作を重ね、   発泡セラミックスに工芸技術によるコーティングを施した。
九谷焼作家 半田濃史氏により何度も試作を重ね、  発泡セラミックスに工芸技術によるコーティングを施した。

まず、発泡セラミックスの素材特性である、凹凸のある断面から出る素材粉(砂のようなもの)が日常使いの課題でした。この課題をクリアするには、素材をコーティングする必要があります。しかし、素材の特性は損なわずに、かつ耐久性や環境性も維持するにはどうすればよいのか。そこで、高温で焼成された発泡セラミックスへ陶磁器の素焼技術を応用した天然の赤土でコーティングを施すアイデアを検討しました。

​陶芸作家の半田濃史氏の協力を得、泥漿による素焼きコーティングを様々な条件で検証していただき、素材粉を抑える事に加え、水分を含んだ様子が視覚的に分かりやすくなることも発見することが出来ました。


発泡セラミックス 7つの特長
発泡セラミックス 7つの特長  写真:アースエンジニアリングHPより

Re 「再生」 + eco 「エコ」 + ceramic「セラミック」からなる造語「Recocera(リコセラ)」をブランド名として、素材を活かすアイテムはなにか、模索の日々が続きました。


用途展開では当初、素材の特性の一つである保水性から、植物用ポットなどを検討・推進する中、園芸・植物の専門家である芸藝の中西氏にヒアリングを行いました。その中で、植物の育成は、ポット等の園芸用品の機能性だけでなく、周辺環境の気温や湿度、植物ごとに違った水やりやこまめな植え替えなど、人の手を加え続ける必要があることを教えていただきました。

植物用ポットの用途は、使用サイクルの観点から断念し、並行して別途検討を進めていた、素材の特長を生かすことができる「多用途の香炉」を採用することにしました。

断熱性能を活かし、円錐のお香だけでなく線香でも使用できる、灰が必要ない香炉として。また、保水性を活かしアロマオイルを垂らすとディフーザー、さらに水溶性アロマを入れたプリフォームを取り付けることでエコ加湿器としても。

様々な用途で香りを楽しめる、ロングライフで使っていただける製品「香りを楽しむおきもの」を開発しました。


植物を扱うプロフェッショナル 株式会社芸藝(うんげい)の中西 氏と打ち合わせヒアリングを行った
植物を扱うプロフェッショナル 株式会社芸藝(うんげい)の中西 氏と打ち合わせヒアリングを行った

一方、「多用途の香炉」と決まった後も、素材の多機能性を活かせるよう、模索は続きました。

サイズや形状も試作を繰り返し、様々な検討を行いました。素材サイズには規定があり、その制約の中で全体的なフォルムなどのデザイン性、取り扱いのしやすさや、香炉として機能するかなど、試作を重ねました。

その中で、試作時の加工ロスが多いという課題もありました。加工の現場からヒアリングし、加工しやすさや、ロスがあまり出ないようにする工夫について思案を重ね、形状が決まりました。

また、末永く使っていただけるよう、お手入れについても検証を重ねました。コーティングは焼成されているので剝げ落ちることなく、汚れ落としや残香の除去が可能で、繰り返し使えるプロダクトとしての仕上がりを確認しました。

付属のプリフォームはペットボトルの原料で、リサイクルできる素材を意識的に取り入れています。


役目を終えたリコセラは、ハンマーで砕き、土に還せます
役目を終えたリコセラは、ハンマーで砕き、土に還せます

ロングライフの使い捨てされない製品づくりを目指していますが、形あるものいつかは壊れます。リコセラが寿命を迎えたその時には、ハンマーで砕いて皆様の手で土に還すことができます。土に混ぜて土壌改良材として、水耕栽培用のハイドロボール代わりとして、生まれかわるのです。

本商品のコンセプト「リサイクル」を全うするために、ものづくりの責任としても、ユーザーがリコセラを土に還すまでをサポートするにはどうすればよいか思案は続きました。

最終的に、パッケージにリコセラ廃棄の方法を明記し(パッケージももちろんリサイクルできる素材)ユーザー自身がリコセラを廃棄する時に、このパッケージを用いる案が生まれました。

そして2023年9月、東京ギフトショーに臨み、ようやくお披露目を果たすことが出来ました。


土に還す方法イラスト ①袋に入れる②ハンマーで砕く③土に還す
土に還す方法

不確実で手探りの状態でも、実直にモノづくりに取り組んでいると、最終的に収まるべきところに収まるような感覚があります。

今できうる最適な形で「Recocera(リコセラ)香りを楽しむおきもの」が生み出されたのではないかと思います。

皆様のこのリサイクルを根底としたものづくりにご賛同いただき、その価値を身近に感じ、日常に豊かさをお届けできれば幸いです。





 

Recocera  Project

2023Japan Kanazawa Publisher & Planning / Design AgeDesign Co., Ltd.

manufacturer EARTH ENGINEERING Co., Ltd. Cooperation HANDA Atsushi


bottom of page