広坂振興会では、2020年より『工芸とアートの街』を掲げ、プロモーションを展開しています。広坂来訪者に対し、 通りにどんなお店があるか一目でわかるマップが掲載された広坂ガイドマップの制作・配布をはじめ、Youtube チャンネル開設やインスタ公式サイト開設、メインストリートにバナーを設置するなど、広坂地域活性化に努めてきました。
今年は、1月1日に能登半島地震により、広坂にある金沢21世紀美術館も被害を受け、有料ゾーンが休館するなど(6月22日(土)に再開)、広坂への来客数にも大きく影響しました。
そこで、広坂のにぎわい創出の足がかりとして、昨年から広坂のメインストリートに設置したバナーをリニューアルすることになりました。
以前のバナーのデザインを引き継ぎながらも、新たに2つのアイデアを取り入れました。
一つは、通りに沿った街並みのイラストを配置し、「Here」で現在地を表して、来訪者が広坂のどこにいるのかわかるよう、サインの役割を持たせました。
もう一つは、リバーシブルにしたことです。香林坊から兼六園方面を見ると白が基調で、兼六園から香林坊方面を見ると青が基調のバナーとなっており、統一したデザインながら振り返ると街の印象が違って見えるといった仕掛けになっています。
リニューアルに際し、サイズも少し長くしたことによりバナーの存在感を出し、伝統的な工芸と現代美術が交錯する広坂の街ならではのバナーに仕上がったのではと思います。

また、今年度は広坂ガイドマップリニューアルにあたり、店舗情報の更新はもちろん、能登半島地震への寄付先情報を追加掲載しました。さらに、表紙を新しくリニューアルすることとなりました。
広坂振興会は金沢に縁のあるアーティストを応援しているため、金沢在住のアーティスト桜井旭氏に依頼し、ライブペインティングの手法で広坂を描き起こしてもらい、ガイドマップの表紙に使用することにしました。
桜井氏は、実際の現場で絵画制作を行い、その制作中に生じる予測不能な現象から変化する表現を取り入れるなど、多次元的リアリティーの絵画表現を追求する近年期待のアーティストです。2023年のGO FOR KOGEI では、秋元雄史(総合監修、キュレーター/東京藝術大学名誉教授)の招聘で、ライブアートを実演し、雑誌 Pen でも紹介されるなど、多くの場で活躍されています。

アートは完成された作品を鑑賞することが一般的ですが、その制作プロセスを鑑賞することができるライブペインティングは、アートへの更なる理解を深めていただくことができるまたとない機会であり、また、街のにぎわい創出する好機として開催しました。

実残念ながら当日は小雨が降る中の実施となってしまいましたが、出来た絵画は筆の素早いタッチが生み出す絵画らしくも、その場が切り取られたようなリアリティのある素敵な絵画に仕上がっていました。特に21美の芝の表現は、その場と同じに見えるほどで、また、金沢らしいはっきりしない天候の空気感が伝わる油絵に、関係者も大満足のライブペインティングでした。
制作された絵画を反映した表紙の広坂ガイドマップは、7 月下旬頃に配布し、好評を博しています。

より広坂ににぎわい創出をはかるため、夏休み期間限定でARフォトコンテンストを開催しました。2022年に広坂振興会で製作した、広坂ザウルス、 雪だるまに、今回ガイドマップの表紙に採用された桜井旭氏の油彩画「ゆったりとした丘」を新たに加えた3種類のARを公開し、キャンペーン期間内に、広坂周辺で撮影したAR写真や、AR動画を#from_hirosakaでSNSに投稿いただき、優秀な作品の投稿に、広坂振興会で豪華賞品をプレゼントする企画を実施しました。残念なことに反応は薄く、応募者いませんでした。
今回の事も大事な糧として、今後も広坂の地域振興を広めていければと思います。

桜井 旭(Sakurai Akira) プロフィール
金沢美術工芸大学大学院 修士後期課程
現場で実際にモチーフを観察しながら絵画制作し、その制作中に生じるコミュニケーションや予測不可能な現象から、 リアリティーが多元化され表現が変化する様も絵に含んでいく。モチーフは、学び舎やよく行く喫茶店など、身の回り のものや日常的な風景。最近は、滞在制作や公開制作を通して、未知の場所でも描くなど、活動の場が広がっている。
Promotion of HIROSAKA
2024.4-2024.10 Kanazawa, Ishikawa, Japan
writing / photo / Yohei Inagaki
planning AgeDesign